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報酬の開示、報酬制限での国際基準の設定、報酬委員会の独立性の強化などを申し合わせた。
これを踏まえて米FRBが公的資金投入行への報酬削減命令を含む報酬監視に乗り出すなど、本格的に報酬制限に動き出した。
欧米では、金融機関の報酬にメスを入れる方向は固まってきた。
ただその制度に魂が入れられるかどうかは不透明だ。
金融機関のモラルの低さは相当重症である。
高額報酬に関して、金融機関は正当であるという主張を繰り返してきた。
その内容は優秀な人材をとるのには報酬は欠かせないし、報酬額は上がった利益に報いる水準で経済合理的であるとしてきた。
ところが、その主張が全く根拠のないことが明らかにされた。
「規則性も理由もない」。
A・Q・ニューヨーク州司法長官がまとめた金融機関の報酬に関するリポートは、衝撃的だった。
米国の主要金融機関5社が、利益をはるかに上回るボーナスを支払い、それを金融安定化法に基づく公的資金によって穴埋めしていた構図が浮き彫りになった。
B・O・Aのボーナスは、100億ドルから、バブルのピークには180億ドルになった。
純利益は210億ドルだったが、それが減った回年も、ボーナスは利益ピーク時と同じ180億ドルにとどまっている。
ボーナスは成果に連動するのではなく、業績のいいときに上げて、業績が悪化しても高水準を維持するものになっていた。
利益に関係なく、公的資金に補填されながら払ったボーナスの受益者も、驚くべき数だった。
100万ドル以上のボーナスを手にした人は、1626人にものぼった。
そのほかでは、100万ドル以上のボーナスを手にしたのはGで953人、Cで738人、Mで696人にのぼる。
結局、金融安定化法に基づく公的資金の主要な使途は、ウォール街の金融機関に高いボーナスを支払うためだったことが、Q氏の調査で浮かび上がったのだ。
議会などでは、金融安定化法はG・S出身のP財務長官が主導し、国民の血税を使って金融システムというよりはウォール街のPの欲望を救った可能性がある、と疑い始めた。
今後の課題は少なくない。
まず当局の監督強化で金融機関の体質が改められるかどうか。
公的資金が投入されたある欧州の金融機関は侃年のボーナスを7割引き下げた。
政府から強く求められたためだ。
しかし基本給ベースを1割引き上げ、ストックオプションを年収の2割分程度支給し、さらに何年か後にボーナスを支払う後払いボーナスを支給した。
トータルの年収は多少は下がったものの、政府から求められたボーナス制限さえクリアーすればいいという姿勢が見え見えだった。
また公的資金を受けながら1600人を超える従業員に100万ドルを超えるボーナスを払ったJPM・Cは、ボーナス抑制の動きを見て、ベースの給与引き上げに動き始めた。
金融機関には、高い報酬を払わないと優秀な人材が集まらないという考え方が染み付いており、それを変えようとする意欲はうかがえない。
また報酬のあり方にメスを入れようとしたFSFも含めて、高額報酬自体を問題視しようとはしていない。
今回の金融危機でR破綻が大混乱を招いたことから、大手金融機関は「ツー・ビッグ・ツー・フェイル」(大きすぎて潰せない)という状況が確認された。
何かあったら政府が介入して金融機関を守るということで、実際に公的資金の投入やFDICによる債務の保証などが付けられた。
これは最終的には国民の税金で守られる状況であり、守るべき税金を拠出している国民の視棋を意識せずに報酬を支払うことは許されない。
米国大統領の年収が数十万ドルにすぎないのに対し、税金で守られた金融機関のトップの年収がその数十倍にも及ぶことは正当化されない。
公的資金を投入した金融機関のトップの年収を抑えたのは、極めて民主主義的な決定であり、それは一時的な対策であるべきではない。
一部の金融機関は、上限を嫌って公的資金を返還したい意向を打ち出した。
しかしそうした金融機関も依然としてFDICによる債務保証を利用している。
税金は利用するだけ利用しておいて、自らの年収には制限を課されたくないというモラルハザードが起きている。
基本的には自由主義経済の枠組みなので、民間金融機関がどう年収を決めようと勝手だ。
しかし、税金でセーフティーネットを提供されている場合は、年収などを制限されるのはやむをえない。
フアニーメイやフレディマックなど準政府機関のトップまでが、業績連動と称して上回る、すなわち大統領の何倍以上の年収を得ているのは、ゆがんだ自由主義でしかなかった。
大手金融機関は、年収でフリーハンドを得たければ預金業務をやめ、銀行免許を返上してからにすればいい。
守られる銀行の経営者にとどまるのなら、報酬は守ってくれる資金を出す納税者の許容する範囲に抑える必要がある。
その程度のことがわからない経営者は、さっさと退場すべきである。
さもないと、今回の危機の教訓は生きず、いずれ危機が繰り返される。
モラルを理解しない経営者を一掃することが、何よりも大切だ。
報酬の問題で大きいのは、Pの見方の変化である。
米国ではPは憧れの対象だった。
成功して高給を手にすることは名誉であり、嫌われる日本の銀行員とは異なった。
ところが、サブプライムローン問題でそのPの醜さが噴出した。
とりわけ失敗したのに税金からボーナスを掠め取る姿は、軽蔑の対象でしかなくなった。
危機が一服したのを受け、大手金融機関はω年半ばから、高い報酬を提示して優秀な人材確保に動いている。
しかしそうしたニュースが流れるたびにウォール街の常識と国民の常識のズレが浮き彫りになり、反銀行感情が高まりつづけている。
国民にあきれられた格好で、長期的には銀行の地位低下につながることは必至の情勢だ。
2009年になって、新しい金融秩序の模索が始まった。
規制緩和の行きすぎや収益至上主義を改めるのがねらいだ。
監督を強化して政府が民間の金融への関与を強める。
具体的には商業銀行を中心とした安定システムの再構築、帳簿外(オフバランス)取引に見られるような規制の抜け穴防止、バブルの再発を防ぐためのレパレッジ倍率の規制などだ。
野放図な金融の拡大に歯止めをかけ、実体経済に比べて異様に膨らんだマネl経済の正常化をめざす。
パック・ツー・ベーシック 金融改革の哲学危機後をどういう哲学で立て直すのか。
演説の名手といわれるO大統領が2009年6月に、明確に述べている。
まず危機の現状に関して「金融の改革者は、多くの新しく複雑な金融商品を生み出した。
資産担保証券(ABS)などの金融商品はリスクを分散することを企図したが、リスクを集中させてしまった。
融資は銀行に売られ、銀行はそれを証券にパッケージし、投資家はそれをどの程度リスクがあるのか知らないまま買わされた。
安易なマネーがあふれ返った。
しかし、そうした仕組みは砂上の楼閣だった。
新しい金融商品の購入意欲が高まるにつれ、金融機関は新しい借り手を求め、融資基準を引き下げた。
多くの米国民が十分な情報も与えられず、お金を借り住宅を購入した」と、証券化などの仕組みを厳しく批判した。
そのうえで「景気後退の原因は金融機関と金融監督にある。
無責任さがウオール街からワシントン、メーンストリートへと広がった。
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